DLC膜コーティング法にはイオン注入を併用したプラズマCVD法を用いています。左の図に示しておりますように、基材に対する負の高電圧パルス印加により、所定の方法により発生したプラズマ中の正イオンを吸引加速し、基材に注入する方法です。この方法により基材へのイオン注入と密着性の良いコーティングが実現できます。 
 大面積、立体物、多数個同時処理できるのもこの方法の特徴です。
 ウイルスの走査電子顕微鏡観察のためのコーティングについては以下の論文で発表しています。この論文のFig.1 B SEM及びEDSマッピングイメージは本コーティングにより得られました。

https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2203437119
 DLCの化学構造は、短範囲のC−C結合がダイヤモンドの結合様式であるSP3混成軌道と、グラファイトの結合様式であるSP2混成軌道が混在した構造であり、全体的には非晶質構造になっています。通常は炭素を成分とする膜として合成されており、高硬度であることからDiamond-like(ダイヤモンドのような)という名前が付いています。
 ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-like CarbonDLC)とは、ダイヤモンドのように硬く、ダイヤモンドと同じ炭素から成る物質です。これを膜状にしたものがDLC膜で、産業界において多くの用途があります。 

 DLC研究所では、代表者が長崎県工業技術センターおよび長崎大学大学院工学研究科に在職中研究開発したプラズマソースイオン注入技術によるDLC膜コーティング技術を元に、表面処理および材料に関わる技術開発、コンサルタントおよび受託技術サービスを業務としています。


 シリコンウエハ上に作製したDLC膜の走査プローブ顕微鏡イメージ。表面粗さRa : 0.17nmと非常に平滑です。










 DLC膜の押し込み硬度測定結果。29GPaの高硬度を示しています。

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